副タイトル:月3,000〜8,000円の日本スマホ代、アジアではいくら?——6カ国の通信費リアルデータと節約術


はじめに:スマホ代は「見えない家計の穴」

毎月支払っているスマートフォンの通信費、正確な金額を把握しているだろうか。

総務省の調査によると、日本の携帯電話1回線あたりの月額利用料金の平均は約3,500〜5,000円(端末代込みの場合は7,000〜10,000円超)とされている。これを年間に換算すると42,000〜60,000円、10年で42万〜60万円という計算になる。

一方、アジア主要国の通信費は日本と比べてどうなのか。本記事では、中国・韓国・台湾・タイ・ベトナム・フィリピンの格安SIM・通信プランを徹底比較。日本の通信費の「国際的な位置づけ」と、海外在住・旅行時の節約術まで解説する。


日本の通信費の現状——「安くなった」は本当か

2021年の菅内閣による値下げ要求を受け、主要3キャリアが20GB前後の中容量プランを2,000〜3,000円台に値下げした。しかし、端末代金の割賦払いや、オプション料金を加えると依然として月6,000〜12,000円程度かかるユーザーは多い。

キャリア/プラン データ量 月額(税込) 特徴
NTTドコモ(eximo) 無制限 4,565〜7,315円 大手安心感
au(使い放題MAX) 無制限 6,270〜7,920円 割引多数
SoftBank(メリハリ無制限) 無制限 7,425円 ヤフー連携
楽天モバイル 無制限(3GB〜) 1,078〜3,278円 最安水準
IIJmio(格安SIM) 20GB 2,068円 コスパ重視
mineo(格安SIM) 20GB 2,178円 融通が利く
povo2.0(au系) 基本0円+トッピング 必要分だけ 少使用向き

格安SIMを使いこなせば月1,000〜2,000円台も可能だが、平均は依然3,500円以上が実態だ。


アジア6カ国の通信費実態比較

中国——世界最大の移動体通信市場

中国の通信市場は中国移動・中国電信・中国聯通の3大国有キャリアが支配している。

キャリア データ量 月額(人民元) 円換算(約)
中国移動(フライングAプラン) 20GB 29元 約580円
中国移動(フライングBプラン) 40GB 49元 約980円
中国電信(100GBプラン) 100GB 69元 約1,380円
中国移動(無制限プラン) 無制限(速度制限あり) 89元 約1,780円

(1人民元≒20円で換算)日本と比べて同程度のデータ量で3〜5分の1の価格水準だ。ただし、GFW(Great Firewall)の影響でGoogle・YouTube・LINEなどは使えない。外国人旅行者向けには2024年以降「Tourist SIM」が整備され、空港・コンビニで入手しやすくなっている。

韓国——5G普及率世界トップクラス

キャリア データ量 月額(ウォン) 円換算(約)
SKT(ミニオム) 11GB 31,900ウォン 約3,190円
KT(Y貯蓄) 20GB 33,000ウォン 約3,300円
LGU+ 30GB 40,700ウォン 約4,070円
SKT(ワンデータ) 無制限 79,000ウォン 約7,900円
アルリョ(格安SIM) 20GB 17,600ウォン 約1,760円

(1ウォン≒0.1円で換算)韓国の格安SIMを使えば20GBで1,700〜2,500円程度に抑えられる。5Gの速度・カバレッジは日本より優れており、コスパは高い。旅行者向けには仁川空港でプリペイドSIMが購入可能(3日間で約600〜800円から)。

台湾——格安SIM天国

キャリア/SIM データ量 月額(台湾元) 円換算(約)
中華電信(スタンダード) 30GB 399元 約1,900円
Taiwan Mobile 無制限 599元 約2,900円
アジアン(格安) 3GB 149元 約720円
Joytel(旅行者向けSIM) 8日間無制限 350元 約1,700円(1週間)

(1台湾元≒4.8円で換算)台湾は旅行者向けSIMが安く、1週間1,500〜2,000円程度でデータ無制限を使えるものが多い。在住者なら30GBで月2,000円以下のプランも存在する。

タイ——東南アジア最大の通信競争市場

キャリア データ量 月額(バーツ) 円換算(約)
AIS(Unlimited) 無制限(15Mbps制限後) 299バーツ 約1,190円
True Move H 30GB 299バーツ 約1,190円
AIS(スーパーSave) 10GB 199バーツ 約800円
AISプリペイド(7日間) 無制限(速度制限) 99バーツ 約400円
dtac(格安) 5GB 169バーツ 約670円

(1バーツ≒4円で換算)タイの通信費は日本の3〜6分の1程度と非常に安い。無制限プランでも月1,200円前後が標準的。旅行者向けのプリペイドSIMは空港や街中の7-Elevenで気軽に買える。

ベトナム——急速成長の通信市場

キャリア データ量 月額(ドン) 円換算(約)
Viettel(MAX70) 70GB 70,000ドン 約420円
Viettel(MAX100) 100GB 100,000ドン 約600円
Mobifone 40GB 79,000ドン 約470円
Vietnamobile(格安) 20GB 49,000ドン 約290円

(1ドン≒0.006円で換算)ベトナムの通信費は東南アジア最安レベル。100GBで月600円というのは日本では考えられない水準だ。

フィリピン——スマート vs グローブの2強

キャリア データ量 月額(ペソ) 円換算(約)
Globe(GoSURF99) 10GB 99ペソ 約270円
Smart(GigaLife) 30GB 299ペソ 約820円
Globe(GoUnli99) 無制限(YouTube/TikTok) 299ペソ 約820円
TNT(Touch Mobile) 5GB 89ペソ 約240円
旅行者SIM(7日間) 10GB 599ペソ 約1,640円

(1ペソ≒2.75円で換算)フィリピンは都市部では十分実用的で、料金は日本の5〜10分の1程度だ。


国際比較——日本の通信費の「割高度」を可視化

月額(円換算) 日本比
日本(大手キャリア) 4,500〜7,000円 基準(1.0)
日本(格安SIM) 1,500〜2,500円 0.35〜0.55倍
韓国(格安SIM) 1,760〜2,500円 0.35〜0.55倍
台湾 1,700〜2,000円 0.28〜0.45倍
中国 580〜1,400円 0.08〜0.30倍
タイ 800〜1,200円 0.17〜0.27倍
ベトナム 290〜600円 0.04〜0.13倍
フィリピン 270〜820円 0.06〜0.18倍

日本の大手キャリアユーザーの通信費は、ベトナム・フィリピンの7〜25倍という衝撃的な差がある。

なぜ日本の通信費は高いのか

要因 説明
設備投資コスト 山間部・島嶼部まで整備する国土条件
高品質インフラ維持費 災害時の堅牢性確保
端末補助金廃止の影響 通信費と端末費の「分離」が進んだが料金体系が複雑化
競争の不十分さ 3大キャリア支配が続き、格安SIM普及率は20%程度
消費税・ユニバーサルサービス料 各種税・費用が上乗せ

日本でできる通信費節約術——今すぐ実践できる5ステップ

ステップ1:現在の料金プランを確認する

まず毎月の明細を確認し、「使っていないオプション」「実際のデータ使用量」を把握しよう。多くの人が月3〜10GB程度しか使わないのに大容量プランを契約している。

ステップ2:格安SIMへの乗り換えを検討する

格安SIM 月額 日本キャリア比節約額(年間)
IIJmio 1,650円 約35,000〜65,000円/年
mineo 1,518円 約36,000〜66,000円/年
NUROモバイル 1,100円 約40,000〜71,000円/年
povo2.0(トッピング) 990円〜 最大75,000円/年

乗り換え自体はオンラインで1〜2週間で完了できる。

ステップ3:海外渡航時はローカルSIM or eSIMを活用する

手段 コスト目安 デメリット
国際ローミング(大手) 7,000〜10,500円 高い
ポケットWiFiレンタル 3,000〜7,000円 バッテリー管理が必要
現地SIM購入 500〜2,000円 日本番号が一時使えない
eSIM(海外向け) 800〜3,000円 対応機種が必要

ステップ4:デュアルSIM活用で「日本+海外」を使い分ける

iPhoneやAndroidの多くはデュアルSIM(物理SIM+eSIM)に対応している。日本の格安SIMを主回線にしつつ、海外渡航時はeSIMで現地データを追加することで、月トータルのコストを最小化できる。

ステップ5:家族割・セット割を最大活用する

格安SIMでも家族割がある場合が多い。また、光回線とのセット割(ネット+スマホ)で月500〜1,000円引きになるケースもある。


海外赴任・長期滞在時の通信費戦略

1ヶ月間の国別通信費比較(データ無制限or大容量)

月額(円換算) 日本キャリア比
日本(大手) 5,000〜7,000円
韓国 1,760〜3,300円 2〜4分の1
タイ 800〜1,200円 4〜9分の1
ベトナム 400〜600円 8〜17分の1
フィリピン 820〜1,640円 3〜8分の1

日本の番号を維持しながら海外で使う方法

  1. 楽天モバイル:月3GB未満なら1,078円。海外での使用時も月1,078円から
  2. povo2.0:基本料0円で電話番号を維持。90日ごとに有料トッピングが必要
  3. IIJmio最安プラン:2GB/月1,078円で番号維持

まとめ:通信費の「国際格差」を味方につける

コスパ評価 日本人旅行者向けのしやすさ
中国 ★★★★★ △(GFW・言語の壁)
ベトナム ★★★★★ ○(旅行者SIM充実)
タイ ★★★★☆ ◎(英語OK・コンビニ購入可)
フィリピン ★★★★☆ ◎(英語OK)
台湾 ★★★★☆ ◎(旅行者SIM安い)
韓国 ★★★☆☆ ◎(空港購入可・日本と近い価格)
日本(格安SIM) ★★★☆☆
日本(大手) ★★☆☆☆

通信費は「見えにくいが確実に出ていく固定費」だ。格安SIMへの乗り換え一つで年間3〜7万円の節約になる。アジア旅行・移住時は現地SIMやeSIMを積極的に活用し、スマホ代の「国際格差」を逆利用しよう。

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By 森田久助

貿易会社に勤務し、中国駐在歴10年。現地での実務経験をもとに、アジア各国のビジネス・経済動向を発信しています。※森田久助は筆名です。