「隣国でビジネスがしやすい韓国に進出したい」——日本から最短1時間半でアクセスでき、IT・コンテンツ・消費財・製造業など多様な業種で日本企業の参入が続いている。韓国は外資規制が比較的少なく、法人設立もオンラインで完結できるほど整備が進んでいる。本記事では2026年最新情報をもとに、法人形態の選び方から設立費用・就労ビザ取得まで実務的に解説する。

韓国進出が選ばれる理由

①日本との地理的・文化的近接性:東京〜ソウル間はフライト約1時間半。時差なし、ハングルと漢字の親和性もあり、日本人ビジネスパーソンが働きやすい環境だ。

②高度な技術人材の確保:半導体・ディスプレイ・バッテリーなどハイテク分野で世界トップ水準の技術者が集積。エンジニア採用のために韓国拠点を設ける日本企業が増えている。

③K-POPコンテンツの世界的普及:K-POP・韓国ドラマの世界的ヒットにより、韓国ブランドの信頼度が急上昇。日本企業が韓国企業と組むことで第三国市場への展開がしやすくなっている。

④外資規制が少ない:製造業・IT・サービス業など大部分の業種は外資100%出資が可能。WTO・FTA(韓米・韓EUなど)の整備もあり、外国企業のビジネス環境は整っている。

⑤デジタルインフラの充実:世界最高水準のモバイル・ブロードバンド環境と電子政府システム。法人設立・税務申告・許認可申請の多くがオンラインで完結する。

韓国の主な法人形態

形態 韓国語 特徴 おすすめ対象
有限責任会社(LLC) 유한책임회사 社員1名から設立可。最もシンプル 小規模・個人投資家
株式会社(JSC) 주식회사 株主1名以上。外資系に最も多い形態 中小〜大企業全般
有限会社 유한회사 社員1〜50名。配当・株式移転に制限 内部管理重視の中小企業
駐在員事務所 연락사무소 営業活動不可。市場調査・連絡のみ 進出前の情報収集

外資系企業には株式会社(주식회사)が最も一般的で、設立後の資金調達・追加出資が柔軟にできる。資本金は最低1ウォンから可能だが、実務上は1,000万〜1億ウォン程度が一般的。

法人設立の手順と費用(2026年版)

STEP 1:外国人投資申告(KISC経由)

外国人投資促進法に基づき、韓国国内の外国人投資委員会(KISC)または指定金融機関に外国人投資申告を行う。申告自体は即日完了。

STEP 2:資本金の払い込み

韓国国内の指定銀行(NH・国民・新韓・ウリ等)に資本金を外貨送金し、外貨入金確認書(外貨入金証明書)を取得する。

STEP 3:定款の作成・法院(裁判所)への登記

定款を作成し、法院(地方裁判所の商業登記所)に法人登記申請を行う。登記後に事業者登録番号(法人番号)が発行される。

STEP 4:事業者登録・銀行口座開設

管轄税務署に事業者登録を行い、法人口座を開設。ここまで完了すれば営業開始が可能。

法人設立にかかる費用目安

費用項目 金額目安(KRW) 金額目安(円)
法院登記費用(資本金5,000万KRW時) 約120,000〜200,000 KRW 約1.3万〜2.2万円
設立代行手数料(法律事務所・行政書士) 500,000〜2,000,000 KRW 約5.5万〜22万円
翻訳・公証費用 200,000〜600,000 KRW 約2.2万〜6.6万円
登録住所(バーチャルオフィス、年間) 600,000〜1,800,000 KRW/年 約6.6万〜20万円/年
設立費用合計目安 約1,500,000〜5,000,000 KRW 約16万〜55万円

※1KRW≒0.11円で計算(2026年7月時点目安)。ASEAN諸国と比べて設立コストが低く、手続きも整備されている点がメリット。

就労ビザの種類と申請条件

D-8ビザ(企業投資ビザ)

外国人投資法人の役員・管理職向け。外国人投資額が1億ウォン以上、または常勤職員5名以上の法人で取得可能。有効期間は最長3年(更新可能)。本人がオーナーを兼ねる場合に最も活用される。

E-7ビザ(特定活動ビザ)

IT・エンジニア・会計士・デザイナーなど専門職向け。韓国の雇用主からの雇用契約が必要。学歴・職歴の審査があり、要件が厳しいが取得できれば幅広い業種で就労できる。有効期間は最長3年。

E-1〜E-6ビザ(職種別専門ビザ)

教育(E-1/E-2)・研究(E-3)・技術指導(E-4)・専門職(E-5)・芸術・興行(E-6)など職種特化型。自社の業種に合ったビザ種別を確認すること。

韓国進出の注意点・よくある落とし穴

①労働法の厳格さ:韓国の最低賃金は2026年に時給10,030ウォン(約1,100円)以上。週52時間労働上限・法定退職金(1年以上勤務で月給1ヶ月分)など労働法が厳格で、違反した場合の罰則も重い。雇用契約書の内容は必ず弁護士に確認を。

②日韓関係・政治リスク:歴史問題・外交摩擦が経済活動に波及するリスクがある。2019年の輸出規制問題のような突発的リスクへの備えとして、調達・販売の多様化が重要。

③消費税(付加価値税・VAT)の管理:韓国の VAT税率は10%。課税事業者への登録・申告(四半期ごと)が必要。外国人投資法人でも例外ではないため、会計事務所との契約は設立と同時に行うこと。

④言語の壁:行政手続き・契約書類・労務管理はすべてハングルが基本。日本語・英語が通じる現地法律事務所・会計事務所の選定が実務をスムーズにする鍵となる。

韓国進出のランニングコスト目安(ソウル・首都圏)

コスト項目 月額目安(KRW) 月額目安(円)
オフィス賃料(江南・10〜15坪) 2,500,000〜6,000,000 KRW 約27万〜66万円
日本人駐在員(総支給) 5,000,000〜10,000,000 KRW 約55万〜110万円
現地スタッフ(事務職) 2,800,000〜4,000,000 KRW 約31万〜44万円
会計・税務(外注) 300,000〜700,000 KRW 約3.3万〜7.7万円
最低月額コスト目安(小規模拠点) 約10,000,000 KRW〜 約110万円/月〜

まとめ:韓国は日本から最も「参入しやすいアジア先進国」

韓国への進出は、先進国水準のビジネスインフラと日本との地理的近さを活かせる数少ない選択肢だ。IT・コンテンツ・製造・消費財と幅広い業種で日本企業の参入実績があり、外資規制も比較的緩い。

一方、労働法の厳格さ・日韓関係の政治リスク・ハングル言語の壁という特有の課題もある。進出前に日本語対応の現地専門家を確保し、労務・税務・ビザを一気通貫でサポートしてもらう体制を整えることが、韓国ビジネス成功の第一歩だ。

🌏 この記事は「アジア進出完全ガイド2026|11カ国の費用・手続き・ビザ要件を徹底比較」の一部です。他の国のガイドもあわせてご覧ください。

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By 森田久助

貿易会社に勤務し、中国駐在歴10年。現地での実務経験をもとに、アジア各国のビジネス・経済動向を発信しています。※森田久助は筆名です。