中国リスクへの対応で最も遅れやすいのは、中小企業の「見えない下請け構造」です。直接の仕入れ先が国内企業でも、その先の素材、部品、加工、検査が中国に依存していることがあります。
今回の輸出規制拡大を受けて、日本企業は単に「中国から買わない」と言うだけでは不十分です。どの部品が、どの国で、どの会社を経由して、どの程度代替可能なのかを見える化する必要があります。 図解:中小企業向けサプライチェーン地図の作り方
STEP 1
主要商品を分解
売上上位の商品を部品・素材・工程に分ける
STEP 2
仕入れ先の先を確認
一次取引先だけでなく二次・三次の国籍を見る
STEP 3
止まった時の損失を計算
1週間、1カ月止まると売上と納期に何が起きるか
STEP 4
代替先と在庫を決める
国内、ASEAN、台湾、韓国、商社経由を比較する
サプライチェーン地図に入れる項目
- 部品名、素材名、用途、代替難易度
- 一次仕入れ先、二次仕入れ先、原産国
- 在庫日数、リードタイム、最低発注数量
- 止まった場合の売上影響、顧客影響、違約リスク
- 代替候補、価格差、品質認証の有無
図表1:調達リスクの優先順位
代替不能部品最優先で調査
中国比率が高い素材価格と納期を監視
認証が必要な部品切替に時間
汎用品商社経由で代替しやすい
Asia Biz Navi作成。
在庫を増やせば解決するのか
在庫積み増しは短期対策として有効ですが、万能ではありません。倉庫費用、資金繰り、陳腐化リスクが増えます。重要なのは、すべての在庫を増やすことではなく、止まると生産全体が止まる部品に絞って安全在庫を持つことです。
また、代替先を見つけても、品質検査や顧客承認に時間がかかるケースがあります。特に自動車、医療、食品、電子部品では、調達先変更がすぐに認められないことがあります。
商社・金融機関を使う
中小企業が単独で海外調達網を作るのは難しいため、商社、地方銀行、信用金庫、自治体、JETROの情報を組み合わせるべきです。金融機関も今後は、取引先の中国依存度を与信判断の一部として見る可能性があります。 図表2:対応策ごとのメリットと弱点
| 対象 | プラス要因 | マイナス要因 | 見る指標 |
|---|---|---|---|
| 国内回帰 | 品質管理しやすい、政治リスクが低い | コスト高、人手不足 | 単価、納期、補助金 |
| ASEAN調達 | 中国以外の量産拠点を作れる | 品質安定まで時間 | 不良率、物流日数 |
| 商社経由 | 情報と代替先を得やすい | 手数料がかかる | 総調達コスト |
| 安全在庫 | 短期停止に強い | 資金繰りを圧迫 | 在庫回転日数 |
編集部の見方
地政学リスクは大企業だけの課題ではありません。むしろ資金と人員に余裕がない中小企業ほど、事前に「止まる部品」を見つけておく価値があります。

